人工授精とは
人工授精とは、調整した精子を子宮内に直接注入して受精を促す不妊治療です。
「人工」という言葉に抵抗を感じられる方もおられますが、タイミング法との違いは精液が入る工程のみです。精液が子宮内に入ってから受精までは、タイミング法、自然妊娠と何ら変わりありません。
人工授精をおすすめするケース
人工授精が推奨されるのは、主に以下のようなケースです。
- タイミング法を1~6回(年齢によって変わります)行っても、妊娠に至らない。
- 子宮頚管の粘液が少なく、射精された精子が子宮までうまく進めない。
- 射精障害や勃起障害(ED)によって性交が難しいものの、マスターベーションによる採精が可能である。
- 乏精子症、精子無力症といった問題により、精子を調整した方が良好な精子が得られることが期待できる。
人工授精のリスク
- 人工授精時のカテーテル挿入に伴う少量の出血
- 子宮・卵管・腹腔内での感染
人工授精の方法・流れ
1受診・検査
卵胞の発育の程度を観察するため、月経周期10日目~12日目(排卵日の2~3日前)にお越しください。
超音波検査による卵胞計測、場合によってはホルモン採血、排卵日を予測します。
2卵胞のモニタリング(卵胞の成長が遅い場合)
卵胞の成長が遅い場合には、排卵誘発剤(内服薬・注射薬)を使用します。
3排卵の刺激
予測した日に行う人工授精に合わせ、必要に応じて注射薬や点鼻薬を使用します。
4精液の採取
※採精前は2~3日の禁欲期間があることが望ましいです。
5洗浄濃縮精液の注入
内診台にて、調整した精液を子宮に注入します。このとき、痛みはほとんどありません。
お帰りいただいたあとすぐ、感染予防のために、抗生剤を処方します。
6排卵の確認
超音波検査で排卵の有無を調べます。排卵していない場合は、再度人工授精を行うことがあります。
7排卵後の黄体補充
排卵後に黄体機能を維持することで、着床環境が整い、妊娠率に好影響を与えます。
8妊娠の判定
尿検査による妊娠の判定をいたします。
人工授精についてよくあるご質問
人工授精の確率はどのくらいですか?
1回の妊娠率は、8%前後です。累積の生児獲得率は、20~25%です。
不妊症の場合、タイミング法と比べ、人工授精の成功率は約2倍となります。
人工授精に痛みはありますか?
痛みがあるとすれば、人工授精時のカテーテルの挿入によるものです。ただ通常、ほとんど痛みなく終えられます。
また、ごく少量ではありますが、出血を起こすことがあります。