子宮頸がんとは
子宮は、ふくらんだ上部を指す「子宮体部」と、縮まった下部を指す「子宮頸部」に大きく分わけられます。
子宮体部に生じるがんを「子宮体がん」、子宮頸部に生じるがんを「子宮頸がん」と呼びます。
子宮頸がんは、主に性行為によって、HPVに感染することが起因となって生じるがんです。通常は感染しても2～3年で自然消失するHPVですが、一部が持続感染して前がん病変になり、さらにそのうちの一部が子宮頸がんへと進行します。
子宮頸がん（0期も含む）は子供を産み育てる年代に多く見られます。40歳までの罹患率（病気にかかる率）は乳がんより多く認められています。
子宮頸がんの罹患率
子宮頸がん（0期も含む）に罹患する女性は2000年以降急激に増えています。 また、日本では年間34,075人の女性が子宮頸がん（0期を含む）に罹患し、2,813人が死亡しています。これは、平均すると毎日約7.7人の女性が子宮頸がんで亡くなっている計算になります。
※出典：国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」（全国がん登録）
子宮頸がんになりやすい人
HPVに感染すると、子宮頸部の細胞がダメージを受け、病変となることでがんが生じます。そのため、以下のような方は、そうでない方と比べると子宮頸がんのリスクが高いと言えます。
- 初交（初めての性交）年齢が低い方
- パートナーが多い方
- 多産の方
- 喫煙をしている方
- 免疫力が低下している方
HPVとは
HPVとはヒトパピローマウイルス（Human Papilloma Virus）の略称です。また、ヒト乳頭腫ウイルスとも言われておりHPVはエンベロープ（外被）を持たず、ほぼ球状をした殻で覆われています。また、HPVには約200種類の型があり、それらには型別に番号がついています。
HPVの分類
がんに発展する可能性のある型
16型, 18型, 31型, 33型, 35型, 39型, 45型, 51型, 52型, 56型, 58型, 59型, 68型
がんに発展することはない型
6型, 11型, 41型, 42型, 43型, 44型
HPVの感染とワクチンの効果
HPVは性行為によって感染します。皮膚粘膜や子宮頸部に感染しても、血液中に入ることがないので、液性免疫には記憶されず、HPVを排除しても繰り返し感染をすることがあります。
子宮頸がんワクチンの接種は、WHO（世界保健機関）も推奨する、多くの国で公的接種になっているワクチンです。 子宮頸がん全体の50～70％を占める16型HPV・18型HPVの感染、またがんにあるまでの異形成を90％以上予防できたという報告があります。
当院では、「ガーダシル®」と「シルガード®９」を扱っています。
シルガードは、ガーダシルの４つのHPV型に、さらに５つのHPV型が加わったことで、より幅広いHPV型に対する疾患の予防が期待できるようになりました。
子宮頸がんワクチン接種の推奨年齢は11～14歳
ヒトパピローマウイルスは、主に性行為によって感染します。そのため子宮頸がんワクチンは初交（初めての性交）より前に接種することが大切になります。 ただ、先述の通りヒトパピローマウイルスは感染してもほとんどは自然に排出されるものですので、初交以降であっても、ワクチンの接種は有効です。子宮頸がんワクチンの対象となるのは、10歳以上の女性ですが、日本小児科学会・日本産科婦人科学会では、11～14歳での接種を推奨しています。次いで、その年齢で接種できなかった15～45歳の女性の優先的な接種を推奨しています。
子宮頸がんワクチンの副反応・副作用
- 注射部位の痛み、腫れ、発赤、出血
- 疲労感
- 痒み
- 腹痛、関節痛、筋肉痛、頭痛
- じんましん、めまい、発熱
その他、脱力感、手足の痛み、下痢などの副反応も低頻度で報告されています。また、さらに稀ではありますが、アナフィラキシー、ギラン・バレー症候群、急性散在性脳脊髄炎などの副反応が生じたケースもあります。
子宮頸がんワクチン接種後の注意点
- 接種直後（注射針を刺してすぐ）から強い痛みが生じたときには、その場ですぐにお申し出ください。
- 接種した後、体調に変化があったときには、すぐに医師にご連絡ください。
- 接種当日は、激しい運動・入浴を避けてください。また、接種部位を清潔に保ってください。
- 接種当日は、できるだけ安静にお過ごしください。
子宮頸がんワクチンの費用
| 費用 | |
|---|---|
| ガーダシル（6,11,16,18型） | 【公費】0円 【自費】1回 18,150円 |
| シルガード（6,11,16,18,31,33,45,52,58型） | 【公費】 0円 【自費】1回 29,000円 |
