卵管鏡下卵管形成術とは
卵管鏡下卵管形成術(FT:falloposcopic tuboplasty)とは卵管が詰まっている、または狭い場合に、内視鏡とバルーンを備えたカテーテルを挿入し、閉塞・狭窄を解消する治療です。局所麻酔下または静脈麻酔下にて、30分程度で終えられる日帰り手術です。 閉塞・狭窄が解消されることで、一般不妊治療(タイミング法、人工授精)における妊娠率改善が期待できます。
手術の適応
ただし、卵管の先端(卵管采)に完全閉塞がある場合には適応外となり、腹腔鏡を併用した手術が必要になります。
手術の特徴・メリット
- 静脈麻酔での日帰り手術が可能
- 一般不妊治療(タイミング法、人工授精)の妊娠率改善が期待できる
- 身体への負担が少ない
- 健康保険適用が適用される
- 1回のみの治療(半年程度で妊娠がない場合は、次のステップへ進みます)
※再手術も可能です
FTの副作用
- 手術後の腹痛、少量の出血
- 手術後の子宮、卵管での炎症
- ごく稀な副作用として、腹腔内での出血
※副作用の程度によっては、入院が必要になることがございます。その場合は、本院である足立病院へと速やかにご案内いたします。
卵管形成術 手術の流れ
1麻酔
静脈麻酔をかけます。
2カテーテル挿入
卵管鏡とバルーンを備えたカテーテルを、膣から子宮へと挿入します。
3バルーンを閉塞部・狭窄部に伸ばす
カテーテルに内蔵されたバルーンを、卵管の閉塞部・狭窄部へと伸ばします。
4閉塞部・狭窄部を広げる
バルーンによって、閉塞部・狭窄部を広げ、開通させます。
5卵管鏡での確認
心にも体にも、より負担を少なく女性にやさしい手術です
手術の時間 | 約30分 |
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手術後の入院日数 | 当日ご帰宅頂けます |
手術後の傷跡 | ありません |
麻酔 | 静脈麻酔 |
手術後の痛み | ほとんどありません |
FTの費用
卵管鏡下卵管形成術には、健康保険が適用されます。
費用 | |
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片側 | 約140,000円程度 |
両側 | 約280,000円程度 |
※3割負担
高額療養費制度のご利用が可能です
卵管鏡下卵管形成術は、「高額療養費制度」が適用されます。
高額療養費制度の申請によって、自己負担限度額を超えて支払った費用が返還されます。
申請先
加入されている保険によって、申請先が異なります。申請後、「限度額適用認定証」等が交付されます。
- 国民健康保険の場合→各市町村の国保年金課
- 組合健康保険の場合→各健康保険組合
- 協会けんぽ、船員保険の場合→全国健康保険協会の各都道府県支部
- 共済組合の場合→各共済組合
所得区分に応じた自己負担限度額
高額療養負費制度の限度額適用認定証の事前申請について高額療養費制度の申請を事前に行い、「限度額適用認定証」をお持ちであれば、窓口でのお支払いの時点で、自己負担限度額までのご負担となります。一旦全額支払い、あとで還付を受けるということが不要になりますので、できる限り、限度額適用認定証を事前に取得されることをおすすめします。
所得区分 | 自己負担限度額 | 多数該当顎 |
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①区分ア (標準報酬月額83万円以上) |
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②区分イ (標準報酬月額53~79万円) |
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③区分ウ (標準報酬月額28~50万円以上) |
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④区分エ (標準報酬月額26万円以下) |
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⑤区分オ (被保険者が市区町村民税の非課税者等) |
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※「区分ア」または「区分イ」に該当する場合、市区町村民税が非課税であっても、 標準報酬月額での「区分ア」または「区分イ」の該当となります。
FTに関するよくある質問
卵管因子なら、すべてのFT対象となりますか?
卵管采(卵管の腹腔側の先端)の部分で閉塞している場合は、FT(日帰り)ではなく、腹腔鏡下FTの適用となります。また、事前検査などでこの治療を受けられないと判断される場合もあります。
麻酔はされますか?
FT(日帰り)は、通常は静脈麻酔で行います。
手術時や手術後に痛みはりますか?
手術時の痛みには個人差がります。ただし、ほとんど痛みはなく、感じても弱いので。検査より楽です。
FT実施後の妊娠率はどのくらいですか?
卵管の開通率は90%以上で、妊娠率は30~35%と言われています。
健康保険は適用されますか?
健康保険適用手術です。一部を除いて高額療養費精度の適用となります。