タイミング法とは
多くの方にとって、不妊治療の入口となるのがタイミング法です。
医療機関を受診せず、基礎体温表やおりものの状態から排卵のタイミングを予測する方法を試された方もいらっしゃるでしょうが、それだけでは妊娠が難しいことがあります。
不妊治療におけるタイミング法では、超音波検査で卵胞の大きさ、子宮内膜の状態をチェックするなどして、医師が正確に排卵日を予測し、その日に性交をするよう指導します。
男性、女性いずれにも特に問題がない場合には、このタイミング法を試みることで妊娠率は上昇します。
排卵誘発剤を使用する場合
卵胞が育ちにくい、排卵が起こりにくい、排卵がないといった排卵障害がある場合には、妊娠率の向上のため、排卵誘発剤を使用して卵胞の発育・排卵を促します。
飲み薬や注射薬を使用します。また、両者を併用することもあります。
副作用に十分注意しながら使用します。
副作用
- 多胎妊娠
- 卵巣過剰刺激症候群(OHSS)
- 内服薬によっては子宮頚管粘液の減少、子宮内膜が薄くなる(菲薄化)
タイミング法の対象となる方
タイミング法の対象となるのは、体内での自然妊娠が可能なカップルです。
男女別で考えると、以下の条件を満たしている必要があります。
女性の条件は「左右の卵管の異常、重篤な排卵障害がないこと」
卵管に異常がある場合にはその治療のための手術が必要となり、場合によってはタイミング法ではなく体外受精などの高度生殖医療の選択を検討します。
排卵誘発剤で結果が得られないような重篤な排卵障害がある場合も、体外受精などの高度生殖医療の選択を検討します。
男性の条件は「精液検査の結果が正常であること」
下記のケースは人工授精をおすすめします
以下のような場合は、人工授精で妊娠を試みます。
女性
- 頸管粘液不全、フーナーテスト不良例
男性
- 精子の数が少ない、運動率が低い
- 射精障害、勃起障害などがあり性行為が困難
タイミング法の進め方
1受診・検査
卵胞の発育の程度を観察するため、月経周期10日目~12日目(排卵日の2~3日前)にお越しください。
超音波検査による卵胞計測、場合によってはホルモン採血、排卵日を予測します。
2卵胞のモニタリング(卵胞の成長が遅い場合)
卵胞の成長が遅い場合には、排卵誘発剤(内服薬・注射薬)を使用します。
3性交渉
医師が予測した排卵日に、性交渉をもちます。
4排卵の確認
超音波検査による排卵の確認を行います。
5排卵後の黄体補充
排卵後に黄体機能を維持することで、着床環境が整い、妊娠率に好影響を与えます。
5妊娠の判定
尿検査による妊娠の判定をいたします。
タイミング法のよくあるご質問
タイミング法の成功率はどのくらいですか?
妊娠しやすい男女の場合、タイミング法によって1周期で16~18%が妊娠に至ります。
不妊症の方の場合は、タイミング法による1周期での妊娠率は数%と言われています。
タイミング法は何回くらい行いますか?
タイミング法の有効治療周期数(80%以上の方が妊娠する周期数)は6~7周期です。(人工授精も同様)
そのため、1ヵ月に1回タイミング法を行うとして、5~6回試みて妊娠に至らない場合には、治療方針を変更した方が妊娠の可能性が高まると言えます。